相続した株の名義変更手続き
1 相続した株式の名義変更手続きを進める人 2 株式の名義変更の際に特に注意すべきこと 3 相続人の口座開設が必要になることの補足 4 非上場会社株式の価値評価についての補足 5 配当金についての補足 6 相続した株式の名義変更を進めるにあたって
1 相続した株式の名義変更手続きを進める人
株式の相続では名義変更は重要です。
なぜなら被相続人は既に死亡しており、株式を動かせないからです。
この名義変更の手続きを進めるのは、相続人、遺言執行者、相続人代理人など、被相続人の相続に関わりのある人になります。
流れとしては、まず手続きを進める者が、株式の管理をしている証券会社に対して、被相続人の死亡事実を伝えます。
その後、以下のように進めることになります。
① 遺言があれば、遺言執行者が手続きを進める。
② 遺言がなく、相続人間の遺産分割協議書があれば、その協議書記載の通り、株式の取得者に名義変更する(その株式取得者、又はその代理人が手続きを主導する場合が多いです)。
③ 遺言も遺産分割協議もなく、相続人間で争った結果、調停調書、又は審判調書ができた場合は、その各調書の内容に従って、株式の相続人に名義変更する(この場合も、株式を取得することになった相続人が主導することが多いです)。
2 株式の名義変更の際に特に注意すべきこと
前述の通り、名義変更をしないと株式を動かすこともできないので、株価大幅下落などの緊急事態が発生した場合、有効な対策を講じることができないおそれがあります。
そのため、相続後、株式の名義変更手続きはできるだけ急ぐべきであるといえます。
よく言われる、相続税の申告時期に間に合わせようとする場合も、以下の点で、名義変更手続きを急ぐべきであるといえます。
ア 被相続人と同じ証券会社の取引口座を持っていなければ、相続できないというルールを定めている証券会社が多く、相続手続きの「前提」として、相続人の口座開設手続きが必要になる。
イ 特に非上場会社株式の場合、その価値評価を明らかにするのが簡単ではなく、相続人間で協議する時間も含めて、相続税申告までに間に合うのかどうか、という問題が生じる。
また、配当金(年1回、または2回発生する、株主に対する会社からの給付)の面でも、早めに手続きすることをおすすめします。
被相続人名義のままだと、株式は相続人間で共有していることになり、実際に発生した配当金をどう支払うのか、そしてどう分けるのかという問題が生じるためです。
3 相続人の口座開設が必要になることの補足
ところでなぜ、自社の口座がないと証券等を承継できないのでしょうか。
手続きとして、相続人の銀行口座があれば、それでよいのではないかと思われることもあるかもしれません。
その理由として、まず大原則として、証券口座の譲渡・売買は原則として禁止されています(犯罪収益移転防止法違反の可能性あり)。
そのため、とある口座にある証券や投資信託契約を第三者に移転させることは、「異名義移管」という形で、口座から口座に承継させるやり方になるとのことです。
すると相続の場合とはいえ、口座をそのまま第三者(相続人)に承継させることはとても難しいということになります。
また被相続人は亡くなっているので、被相続人の名前で売却等を行うわけには、当然参りません。
したがって面倒でも、マネーロンダリング等不正防止のためには、口座間での取引が必要とされ、口座開設が必要になるということになります。
4 非上場会社株式の価値評価についての補足
非上場株式は、上場をしていない分、他の会社との比較でその会社の価値を判断することが容易ではありません。
上場をしていないということは、基本的にはその会社の内部情報を市場に開示していないことが多く、その会社の実態が明確にならいからです。
その場合、かろうじて開示されている部分(資本金額、ネット上で公開されている情報)から、その会社と資本金額、各情報で類似している上場会社を探し、その上場会社を基準として株価を決める方法もなくはないです。
ただそれでも精度が高いわけではなく、関係者の納得を得られるかどうかはわかりません。
5 配当金についての補足
前述の通り、そもそも会社の方で配当金をどう渡すべきかはっきりしないという問題があるので、支払いをすべき会社側で預かっておくしかないということになります。
これと関連して、この共有状態が継続したままで、当該株式を発行している会社の株主総会が行われる場合、議決権行使をどうするのかという問題も生じます。
この場合、株式発行会社側としては、一日でも早く名義変更をして、株主名簿の名義書換手続きも進めてほしいところですが、他の財産含めて相続でもめている場合が多いので、そのまま行使せずに保留になってしまうケースが多いようです。
6 相続した株式の名義変更を進めるにあたって
以上の通り、相続した株の名義変更手続きには数々の問題が生じうるので、慎重、かつ迅速に手続きをしなければなりません。






























